
住友建機リサイクル紀行_2025年発刊
南宇和森林組合が所在する愛南町は、南宇和郡にあった旧5町村が2004年に合併して発足した町である。 合併当時には約30000人を数えた人口も2025年現在では約18000人までに減少し急速な過疎化が進んでいる。地理的には愛媛県の最南端に位置し、町域の8割は険しい山地でありその山裾は海に迫り複雑なリアス式の海岸線を創っている。町の主たる産業は水産業になる。鯛や牡蠣などの養殖が盛んで、高知のイメージが強いカツオの水揚げもこの町の深浦港が四国一だという。
そんな水産業の盛んな愛南町で、町唯一の林業事業体である南宇和森林組合の概要を数字で並べると、組合員数1300名、人工林面積は約8000ha、樹種はヒノキ80%スギ20%、ヒノキの樹齢は55~60年生、昨年度の素材生産量は6000㎥となっている。組合職員は内勤6名、現場7名。7名1班での施業体制をとっているという。
今回南宇和森林組合の青木千之組合長と実務を担当されている清水広幸参事にインタビューのお時間を作っていただいた。

まず清水参事に組合ではICTを林業に活用され、いわゆるスマート林業に取り組まれているとお聞きしたので、そのことをお訊ねした。
「今のところICTまでとは言い切れません。KESLAハーベスタに標準装備されている機能で材積管理ができるので、週に一度USBにデータを移して事務所に提出してもらっています。その作業を6年前に2台目の20SH6型KESLAを導入した時から続けており、持ち帰ったデータを分析しています。それで大きく作業が変わることはありませんが、材径や本数、 材の長さなど色々なことが数値として見えるので、工程の管理や目標値の設定がしやすいことなど、仕事をする上での有効な資料として活用しています。今は現場職員の人数は少なく、仕事の効率化は必須事項です。現場で山に集中してもらうために仕分けなどの労力を減らすため材は市場へ持って行くことにしており、その搬送も外注しています。
ICTでいうとドローンにレーザーを積んで森林解析をしたいと考えているのですが、レーザーも解析ソフトも金額が高く踏み切れない状況です。今のところドローンは国有林の列状間伐の確認などにしか利用できていません。将来的には森林解析をして調査の簡略化を進めたいと考えていますが、森林は密なので見えない木が結構でてきたりするので、なかなか高精度の森林解析は難しいようです。林業という分野は正確性などを考慮するとICTがもっとも難しい分野かと感じています。林業でどこまでICTを進められるのかは今からの課題になるかと思います。」

最後に青木千之組合長に組合の現状や今後についてお話いただいた。
「愛南町は水産業と農業の盛んな町です。私も行政にいた頃は水産業と農業関係にはある程度の知識はありましたが林業に関しては素人同然でした。16年前に縁あってこの組合の組合長に就任してから森林を見て森林を考えるようになり森林の大切さが理解できるようになりました。県や町の予算を見ても水産業及び農業と比較して林業への予算措置が充分ではないのが現状であります。森林の知識を少し持てば、水産業の中核である養殖を支えている豊潤な海は、先人の林業従事者が丁寧に整備した森林が涵養した水資源がもたらしたものだと理解できるはずです。今後愛南の森林をどうすれば良いか、森林の恵みを思い、森林に対する理解をもう少し深めていただきたいと思います。」
引用: 森友vol.17(2025年10月発刊)


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