住友建機リサイクル紀行_2025年発刊
有限会社氏原林業が所在する浜松市浜名区三ケ日町は、浜名湖の北部、奥浜名湖と呼ばれる地域に位置し、温暖な気候を利用した温州みかん『三ケ日みかん』の産地として全国に知られている。 氏原林業は、昭和３４年に現社長のご両親が三ヶ日町に居を移し素材生産業を業としたことに始まる。当時のことを氏原孝社長は懐かしそうに語られた。
「子どもの頃から山は身近な存在で、山仕事をする親の背中を見て育ちました。ただ、林業そのものが徐々に衰退していくのは何となく感じました。雇っていた人が高齢化などで減り、いつしか父親の仕事を自分が助けなければと思い手伝い始めていました。その後も私以外の新しい人材はなかなか確保できず、少ない人数で仕事を続けていました。三年間の手伝いの時期を経て、真剣に家業を継ごうと決心し林業の世界に飛び込んだのですが、今から考えると何の根拠も目算もない安易で楽観的な決意でした。
新たな人材を確保することは急務で、そのためには雇用形態を変えることが必要だと考え、私の入社を機に昭和５５年に法人化しました。そして社会保険制度など安心して働ける環境を整備することで人材雇用に備えました。施業に関していうと、当初は立木買いをしていましたが、リスクが多くなかなか利益につながりませんでした。そうして頑張っているうちに、国有林の請負生産事業が始まりました。伐った分だけ報酬を得られる堅実な仕事が、自社に合っていると考え、それをメインに仕事することにしました。また、会社が里に近いので神社仏閣の特殊伐採の仕事も 創業の頃からある程度の需要がありました。
高性能林業機の導入は、平成１０年にグラップルを入れたのが最初です。それまでは手作業でしたので導入して作業が大きく変わりました。住友の機械を最初に入れたのはＫＥＳＬＡです。この近辺はヒノキも多いので特に南向きの斜面など枝のつき方がすごく、色々試しましたが他のメーカーのプロセッサーではとても払えないのでＫＥＳＬＡを選定しました。
住友機はベースマシンの足回りが良く、登攀力もあり、旋回もスムーズ、駆動力が違うのでその後はずっと住友機を導入しています。メンテナンスはスズキ機械産業にお世話になっており、何かあれば素早く対応していただけるので感謝しています。今弊社の社員は私を含めて９名在籍しており、現場従事者の年齢は３５歳から４２歳まで、平均年齢も３７，８歳くらいです。７年前に森林組合の市場に勤めていた次男が入社して仕事を頑張って会社を継いでくれそうなのでちょっと安心しています。
ご子息である氏原秀治取締役にもお話をうかがいました。
「父が社長職を継いだのが３８歳の時で、今年私は３７歳になりました。来年までに父の域に達することができるかはわかりませんが、自分を高めていこうと７年間仕事に打ち込んできました。父がこのハードな仕事を四十年以上続けて来たのはシンプルにすごいことだと尊敬しています。この誠実な仕事ぶりが評価されたから令和の大嘗祭の設営材として天竜スギの伐採搬出事業者に選定されたのだろうと思うと本当に誇らしいことです。ただ、自分は一人で周囲の人をひっぱって行くタイプではないので、社員がお互いを理解し、協力して組織を作るようにしたいと考えています。
情報発信の新たな取り組みとしてインスタグラムで社員の仕事動画をアップしています。これからの林業は見栄えも大切な要素で多くの人に見ていただきたいし、それが集客につながればとの思いもあります。何より自分達の仕事ぶりを見ることで、仕事の手順や無駄な動きなど、多くのことが見え技術向上につながっています。また、山だけで仕事をしているとお客さんにどう評価されているかが分かりません。 特殊伐採はスキルアップにもつながるし、地域の人からありがとうと感謝される喜びを知れる仕事なのでこれからも続けたいと思っています。祖父の代から数えると創業５８年です。今後も氏原林業の名に恥じない仕事を続け代を重ね１００年企業を目指したいと思います。
引用： 森友vol.17（2025年10月発刊）
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