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森友vol.17 株式会社吉本(長野県)_2025年10月発刊

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森友vol.17 株式会社吉本(長野県)_2025年10月発刊
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株式会社吉本

自然と共生しONLY ONEの森林サービスを追求する

 株式会社吉本は、1887年(明治20年)に佐久穂町で開業された138年の歴史を持つ企業である。開業時は木炭の販売を生業とし、その品質の高さで評判となり企業としての礎を築いていく。同社の創業50年を記念して社史を著した書物が発刊されており、その「與志本50年の歴史」(当時の法人名は與志本合資会社)という本を紐解くと、社会の発展に伴って、扱い商品が変遷していくのが分かる。鉄道用枕木、建築用杭丸太、電柱など、現代では目にすることはないが、日本の近代化に木材の果たした役割が読み取れる。扱い商品の中でも特に枕木と杭丸太の販売量が突出して多く、同社の発展に寄与するところが大きい。枕木など日本全国の鉄道会社を顧客としており私鉄関しては、納材シェアが日本一であったと記されている。 しかし戦後日本の新たな復興と発展の波は、同社を飲み込んでしまう。同社のメイン商品であった枕木、杭丸太、電柱などの素材がコンクリートに代わっていったことで業績の凋落が始まる。


長野県南佐久郡

 現会長の由井正隆氏は、昭和48年に入社された。会長によると「国産木材業界は昭和39年がピークで、その後雪崩れを打つように落ちていった。私が入社した昭和48年のオイルショックで一時的に木材価格が上がった時もありましたが入社以来ずっと苦しい時期が続きました。」その苦しみは平成5年に多くの負債を抱えた子会社や全国各地にあった支店や工場を手放して会社を再スタートする時まで続いた。「平成5年に6000ha の山林と地元に作った小さなショッピングセンターだけを持って独立しました。6000ha の山林も樹齢が10年20年生程度でまだ売り物にならないような木ばかりです。ただ、20年後30年後には会社が残っている限り、販売できる時期が来るのが確実なのでそれに備えようと考えました。長い間山を眺めているだけの時期が続きましたが、10年くらい前からやっと伐れる樹齢になってきています。
 長く苦しい時期が続きましたが林業者として誇らしい出来事もありました。それは、2019年に令和の大嘗祭で宮を造営するためのカラマツ1200本を宮内庁に納める仕事を請けたことと、2021年の東京オリンピックで有明体操競技場の屋根や梁の材をすべて当社から出すことができたことです。どちらも誇らしく良い思い出となりました。

引用: 森友vol.17(2025年10月発刊)

 由井正隆氏は、東京オリンピックの翌々年、社長職をご子息に譲られ、会長職に勇退された。社長に就任されて2年目の代表取締役社長由井正宏氏に会社の現況や展望を伺いました。 「弊社は長野の本社と岩手、群馬の3事業所で事業を行っており従業員は50名ほど在籍しています。作業班は長野で4~5班、岩手2班、群馬1班の体制です。素材生産量は、毎年上下しますが20000~30000㎥程度です。樹種はカラマツ、アカマツ、スギ、あとナラやクリなどの広葉樹も取り扱っています。 自然と共生しONLY ONEの森林サービスを追求するSH135X-7 KESLA25SHmk II社有林は伐期を迎えており、毎年計画的に5~10h a 程度更新しています。国有林の間伐や県、民間の仕事も請けていますし、立木の購入もあります。販売先が約100社あり多様なニーズに応えるよう努めています。

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代表取締役 由井 正宏 様

 現在進行している事業では、大手住宅メーカーと共同して集合住宅向けの材を共同生産するシステムを研究しています。様々な会社と連携し今までにないチャレンジをしたいと考えています。新しい仕組みを生み出すことで販路を広げることができ、山と会社の付加価値を上げることができると考えています。近年は合板材とバイオマス材の需要が急速に高まっており細かい造材をせず、B材とC材をメインで生産し、効率良く現場を回す生産システムが主流になってきていますが、当社は山の資源を丁寧に仕分けし、必要としているお客様になるべく短納期で提供するというスタンスを変えず、林業者であり材木屋の本来の姿を貫きます。
 『自然と人間は共生しており一体である。我々は、森林の総合的利用に努め、豊かな森林 の育成を通して社業の発展と社会に貢献することを使命とする』初代社長の言葉であり弊社の企業理念です。この言葉を指針に、人ができないことをするオンリーワンの会社づくりを目指し、地域や業界で必要とされる存在であり続けたいと思っています。

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