正直なところ、就職活動をはじめた当初はどの業界へいきたいのか、どのような仕事がしたいのか、明確にはありませんでした。いくつも企業説明会などへ足を運ぶうち、建設機械に興味を持ったのは、将来的にも社会から必要とされる機械だと思ったからです。 ビルやマンションを建てる、壊す、道路や橋をつくる――今後も繰り返されていくさまざまの工事を想像したとき、そこには必ずショベルが必要とされ続けるだろうし、別の何かに取って代わられることも考えにくい。 私たちの生活を支える社会インフラ整備において欠かせない機械であり、災害復旧など緊急性が求められる現場でも活躍します。 そのような建設機械を世に送り出す建機メーカーはやりがいのある仕事だと思ったのが、この業界へ進んだ理由です。なかでも、住友建機を選んだのは、戦前から受け継がれている“住友”の歴史に重みを感じたからでした。
入社後は九州統括部での研修期間を経て、2020年の10月に北九州営業所に配属となりました。2カ月ほど、所長に同行して営業のイロハや北九州エリアの特性などを学んだ後、21年7月から北九州市内エリアを担当しています。 フォローしているユーザー数は、金属スクラップのお客さまが8割で、残りが土木のお客さま、林業は数社のみという構成。このうち、金属スクラップ分野においては、先輩方が着実に築き上げてきた実績から、住友建機は非常に高い認知度を誇っています。 この実績に泥を塗らないよう、自分にできることを精一杯、実行する。今は、そんな毎日です。
やはり、お客さまに機械を購入いただけたときです。しかし、日々、お客さまと接していると自分の力不足を痛感します。 営業の第一歩は、お客さまに顔を覚えてもらうことです。「宮﨑」という人間を知ってもらい、信頼してもらうことが大切になります。お客さまが機械の購入を考えたとき、営業として顔を思い浮かべてもらえないと、商談に参加することすらできませんから。
そのためには、仕事に限らず雑談でもいいので、会話を交わすことが重要になってきます。配属後、同行させていただいていた所長は、そこが本当にすごかった。 建機のことはもちろん、経済や政治、スポーツ、趣味など、本当に幅広い知識があり、自然と会話が広がっていくのです。仕事以外の相談を受けることも多く、お客さまと強い信頼関係があるのだと、同行していると強く感じられました
私もゴルフや釣りなど多趣味なほうで、馴染みのお客さまとであれば、1時間でも2時間でも話すことができます。しかし、新規のお客さまとなると話が広がらずに短時間で帰るしかなくなることが少なくありません。だからまずは、機械のことや時事ネタなど知識を身につけることを意識しています。 そして、お客さまの反応を見ながら、興味・関心のありそうな話題の引き出しを開けて、気持ちを引き寄せられるトーク術を身につけられるよう努力しているところです。
お客様とのエピソードを教えてください
すでに取引のある金属スクラップのお客さまから「マグネットの機械を新たに購入したいのだけど」と打診をいただいたのは2021年の初夏でした。前年の12月から一人で営業するようになり、そのお客さまのところにも定期的に顔を出していたこともあって、かなり可愛がっていただいていました。だから、心のどこかでは「簡単にまとまるのではないか」と思っていたのですが……。
「高い、話にならないよ」。1回目に見積もりを持参したときは、けんもほろろに追い返されました。最初なので強気の価格設定をしていたとはいえ、想像以上に厳しい回答。可愛がっていただいているといっても、ビジネスは別の話なのだと気を引き締めなおして再度、見積もりしなおしました。
ただ、ここで大きく価格を下げてしまうと、「もう少し粘れば、もっと安くなるのでは」と思われ、まとまる話もまとまらなくなると所長からアドバイスをいただき、価格設定を吟味。オプションとしてサービスできるものを整理するなど、手札を増やして、お客さまのところへ向かいました。
そこからお互いにギリギリのところをせめぎあいながら商談を繰り返すこと6回。最終的に、「宮﨑さんだから買うよ」と言っていただけたときは、自分が認められたような気がして、本当に嬉しかったです。
九州統括部にいた頃は、鹿児島へ行ったり、長崎へ行ったりと、年の近い先輩方と数多く同行させてもらいました。そのときのつながりが、一人で営業するようになってから自分の支えの一つになっています。歳が近い分、相談しやすく、アドバイスも的確です。
また、所長や支店長は、豊富な経験から、若手の先輩とは別角度からのアドバイスをいただけたりします。北九州営業所に配属されてから本当にさまざまなことを教えていただいた所長は、仕事における師匠のような存在です。
このようなすごい先輩方が築き上げた北九州エリアの基盤を自分が失うわけにはいかない。この思いが、金属スクラップ分野の維持・拡大だけでなく、競合に後れをとっている土木分野における新規開拓へのモチベーションになっています。