住友建機リサイクル紀行_2024年発刊
四万十町森林組合前身は、昭和27年に合併された大正町森林組合。平成18年の大正町、十和村、窪川町の合併により町名が四万十町となったことから、平成24年に現在の名称となった。この地域で中心となる樹種はヒノキで、全体の7割を占める。なかでも “四万十ヒノキ”と呼ばれるこの地域特有のヒノキは、薄紅色の美しい色調と香りの豊かさが特徴で、古くから神社仏閣の建築に珍重されているという。 現在、同組合は2988名の組合員と135名の従業で構成され、管理する山林の面積 は56000ha。年間生産量は23000㎥にのぼる。田村専務理事は「この町の林業を守り続けていくには、若者の育成と定着が何よりも大切」という理念のもと、若者が働きやすい環境、より安全に働ける環境づくりに心血を注いできた。その最たる取り組みが、林業の機械化だ。 「当組合では平成8年から機械化を推進しているのですが、最大の目的は若い人が林 業に定着できる環境づくりでした。林業の未来を切り開くのは若い世代です。しかし、従 来の林業にはどうしても“過酷で危険”というイメージがつきまとっている。それを払拭するには、機械化が不可欠と考えたんです」。
林業機械の導入により、労力の低減や作業効率の向上を実現し、当初の目的へ大きく前進した四万十町森林組合。そして、それらをさらに加速度的に発展させる出会いが訪れた。 「四国内で展示会が行われた際に、はじめて住友建機のKESLAに試乗させてもらったんです。以前から存在は知っていました が、どうも動きが遅いという印象があった。しかし、実際に乗ってみたらそれが勘違い だったことに気づきました。同じ会場で他社のハーベスタにも試乗したのですが、もうこ れ以外には考えられませんでしたね」。 これをきっかけに、平成 21年に導入。「以前は、 一人当たり2㎥が限界でした。ところが KESLA導入後は全部機械で処理できるよう になり、一人当たりの生産量も4㎥に倍増。年間の生産量も飛躍的に向上しました」。 その具体的なメリット を、田村専務理事からこのようにご評価いただいた。「たとえば、斜面下に落ちた丸太をその場で持ち上げて造材するといった作業は他の機械には難しい。また、ヒノキの太い枝を落とす力もKESLAならではの持ち味といえるでしょう。この機械を導入して以来、ハーベスタの導入を検討している知人には積極的にすすめるようにしていますよ」。
日本の林業は、 まだ試行錯誤を続けている段階
現在はKESLAをはじめハーベスタを5台、 ショベル系林業機械を25台、フォワーダを4 台、そのほか林内作業車を6台保有している四万十町森林組合。今後もさらに機械化 を推進することで、大幅な生産量向上を視野に入れている。 「現在は年間で約23000㎥の生産量をあげているのですが、機械化をさらに推進すれば比較的早い段階で30000㎥の大台を突破できると考えています。生産量が増えれば利益も拡大し、組合員への還元もより大きくなる。そうすることで、目標の“若者の定着” を果たすことができると信じています」。 積極的にIターン・Uターンを受け入れ、県外からの希望者も後を絶たないという。これからも若者を積極的に雇用し、林業の後継者を育てていきたいからこそ、その要となる林業機械への思い入れも強い。 「海外の林業の歴史は200~300年。それ に比べて、日本の林業はまだ始まったばかりです。業界全体が試行錯誤を続けている段階といえるでしょう。林業機械に関しても日本の林業に合った機械は日本にしかつくれないはずです。住友建機さんには期待しています」。
引用: 森友vol.6(2014年9月発刊)
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