住友建機リサイクル紀行_2024年発刊
大小合わせて140あまりの島々が連なる五島列島では、50年ほど前からスギやヒノキの植林が始まった。やがて、スギの植樹が減り、現在では全体で約8割がヒノキとなっている。そんな五島列島で林産が始まったのは平成11年。切り捨て間伐から利用間伐へと移行した林野庁の方針と足並みを揃えるように、五島森林組合でも機械化を推進し林産への取り組みを開始した。しかし、長崎と海を隔てた五島列島は、林産に おいて決して恵まれた環境ではないという。大町組合長は離島ならではの苦労をこのよ うに語る。「五島列島はもともと強風にさらされる土地柄であるうえ、台風の影響も強く受けてしまうため、年間の生産量は3000㎥、1ha当たりの生産量も35㎥にとどまります。長崎本土でしたら1ha当たり80~90㎥は採れますので、同じ作業をしていても非効率と言わざるを得ません」。 しかも、それらすべてが製品になるわけではない。「製品として売れるのは1/3程度ですね。残りはほとんどが地域の畜産業者へ飼料として販売しています。せっかくのヒノキをおがくずにして売るのは本望ではありませんが、本土への輸送費を考えたらこのほうがまだ利益率は高いんです」。長崎本土への輸送費は、トラック1台分で75,000円。これがネックとなり、木材はすべて地元で売りさばかなければならない。ここにも、離島の厳しさが現れている。
しかしここ数年、五島列島で唯一林産を行っている五島森林組合の実績が地元でも評価され「地元の木をもっと積極的に使おう」という地産地消の気運が高まってきた。大町組合長は、その風潮に頬を緩ませる。 「地元の小学校がまもなく建て替えを行うのですが、校舎に五島列島の木を使いたいという話が持ち上がっています。約200㎥のヒノキをフローリングに使用する計画なのですが、私たちもその完成を楽しみにしています」。 林産事業において、必要不 可欠なのが林業機械。平成11年の林産事業開始時に、日 ごろから懇意にしていた垣深建機サービスより住友建機のSH120をはじめ、林業機械を導入し一気に機械化を推進した五島森林組合では、平成26年にSH135と南星のプロセッサを追加。このプロセッサを選んだ理由は、地域特有の“枝の太さ”にあるという。
太い枝を難なく落とす 5枚刃の力を実感
「この地域のヒノキは平均12~13mと樹高は低いのですが、枝は太くしっかりとしてい る。この枝を払うには、通常の3枚刃では少々約不足なんです。南星のプロセッサは5枚刃ですので、太い枝も難なく落としてくれる。この力強さが最大の決め手でした。また、測長の誤差が非常に少ない点も魅力ですね」と語る佐々野課長。 一方、現場で操作を担当する嶋さんは、実際に操作した印象をこのように語る。「5枚刃のせいか、枝の落とし残しは少ないですね。パワーがある証拠だと思います。また、住友建機のベースマシンは林業用に開発 されているので、南星のプロセッサとの相性 の良さも抜群です」。 現在、五島森林組合管内の森林所有者は625軒。高齢化により、山への意欲を失っている地権者も多いという。そんな現状を憂う大町組合長は、今後のビ ジョンをこのように語った。 「個人が山の整備を行うことは現実的に不可能ですので、地権者に代わって整備でき るのは当組合しかありません。これからも林産事業を推進しつつ、いつかは補助金に頼らず自立して生産性を上げられる基盤を構築し、少しでも地権者に還元することが我々の使命と考えています」。
引用: 森友vol.6(2014年9月発刊)
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