住友建機リサイクル紀行_2024年発刊
北海道ニッタの母体であるニッタ株式会社は、明治21年に日本で初めて動力伝達用革ベルトを製造したことで知られる企業。本拠地 を大阪に置くニッタ株式会社と北海道との関わりは、ベルトをなめすために必要なタンニンを求めて、明治39年に槲(カシワ)樹林が豊富な十勝にタンニン固形エキス製造工場を設立したことに端を発する。槲の樹皮には、タンニンが豊富に含まれていたのだ。大正12年には、樹皮を剥ぎ取ったあとの幹を利用し合板として事業化。膠接着剤を開発し、いわゆる“ベニヤ板”の先駆けとなり専売特許を得た。 北海道で槲を伐採し、タンニン固形エキスとベ ニヤ板の開発に成功したニッタ株式会社は、 将来を見据えて当時では珍しく伐採後の土 地にカラマツを植林した。その規模は最盛期 で30,000haにおよび、戦後の農地解放により 現在は6,700haを管理。そのなかの3,700haが 人工林で、9割がカラマツとのこと。
「伐ったら植えるのが会社の方針」と語る永野社長は、自社の山、そして地域への想いをこのように語る。「経営面に関しては、赤字にさえならなければいいと考えているんです。大切なのは、明治より受け継いできた山を健全に保つことと、そこで働く地元の方々に一年を通じて安定した仕事を提供すること。この地域の人と山がいつまでも元気であることが、私たちの願いなのです」。さらに同社では、地域だけではなく社会全体への貢献にも力を注ぐ。2007年より環境省のJ-VER制度に基づき、北海道中川郡豊頃町に保有する山林において豊頃町間伐促進プロジェクトを実施し、2012年に4,706t-CO2のオフセットクレジット(CO2排出権)を取得。地球温暖化防止へ向け、山林維持管理により一層の力を入れている。
ハーベスタを使いこなすことが 効率化のカギ
山林維持管理および素材生産の効率化に向け、従来のプロセッサと木材グラップルに加えて住友建機のSH135X-3B KESLA25RHSを導入した北海道ニッタ。永野社長は「ハーベ スタをただのプロセッサで終わらせないためには、オペレータのスキルや経験が不可欠。使い切れなければ宝の持ち腐れになってしまいますから。現在は間伐主体で1人あたり30㎥/日の生産量をあげているのですが、将来は皆伐も含め45㎥/日を目指したい。ハーベスタでどこまで効率化できるかがカギですね」と語る。 一方、永野社長の期待を担うオペレータの福原さんは「小旋回機ということで安定性が不安だったのですが、乗ってみたら足回りの安定感も全体的なバランスも良好でした。また、プロポバルブで圧力の設定ができることに驚きました。最初はどの圧力がよいのか迷うこともありましたが、今では樹種や木の径に応じたバランスを見つけつつあります」と、期待に違わぬ熟達ぶりを見せる。まもなく伐期を迎えるカラマツを見上げて目を細めるのは、43年にわたりニッタの森を守り続けてきた高田業務部長。「カラマツの伐期は45年。私が入社したころに植えた木を見届けて退職するのが私の夢です。若い社員にはこれからも先代の教えを着実に守り、次の世代に確実につないでいってほしいですね」。高田業務部長の瞳に、熱い職人魂が垣間見えた。
引用: 森友vol.4(2012年10月)
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